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犬と呼ばれたディオゲネス 樽に住むホームレス哲学者に世界の支配者も憧れた!?

犬の哲学者ディオゲネス
ディオゲネス

ホームレスと世界の王…

もし神様が現れて「世界の王か、ホームレスか、どちらかにしてあげるよ」と言われたら、どちらを選ぶでしょうか?

「そんなの決まってるじゃねーか! 自分からホームレスを望む人なんているわけない!」

そんな声が聞こえてきそうですが、ちょっと待って!

神様にお願いするなら、今回のお話を聞いてからにしてください!

参考 ギリシア・ローマ哲学者物語

参考 ディオゲネス(wikipedia)

哲学界の憎まれ度No.1!? 古代ギリシャのディオゲネスは頑固で偏屈者

今回のお話の舞台は古代ギリシャ。哲学者ディオゲネスのお話です。

先生
先生
ほう、ディオゲネスか。そんな名前の活きのいいやつがおったのう。確かわしの弟子のアンティステネスのところに入門したんじゃったかな。
同じくわしの弟子のプラトンを目の敵にしとったのう

この人物は、なかなかクセのある頑固者。他人の嫌がることをわざと言ったり、あげ足をとったり…人々が眉をひそめるエピソードが出るわ出るわ。
ある意味、山にこもった人間嫌いの哲学者というありがちなキャラクターを地でいったような人物なのです。

こんな人物がなぜ高名な哲学者として後世に残ってしまったのか。ここには、やはり、哲学者らしい物事の本質を捉えた鋭いまなざしがあったということでしょう。

敵に回したくない! ディオゲネスの頑固者エピソード

それでは、このディオゲネスどんなエピソードの持ち主なのでしょうか。

色々調べてみると出るわ出るわ…現代ならワイドショーもののエピソードが山のよう!
なかには、とてもここでは言えないような下品なものもあり…

そんなディオゲネスのエピソードをいくつか紹介しましょう。

参考 ギリシア・ローマ哲学者物語

プラトンとは宿命のライバル?

古代ギリシャと言えば、超一級の哲学者プラトンがまず挙げられるのではないでしょうか。

プラトン

【関連記事】ニワトリの毛をむしったら人間になる!?大哲学者プラトンは何を言い出す!?

プラトンソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師匠でもあります。
「哲学を遡ればプラトンに通じる」という言葉もあるほどのビッグネームです。

ある時、プラトン「人間とは羽のない二本足の動物である」と述べました。現代の私たちは「おいおいw なんだよそれw」って思いますが、当時の人々はこれに喝さいを与えます。

ディオゲネスはこのプラトンの言葉を聞くと、なんとニワトリを捕まえ毛をむしり取り、プラトンの前に突き出したとか。

「お前のいう人間はこれかな?」と言ったところでしょう。

権威に対して真正面からモノを言うすがすがしさはありますが、もう少し言い方を考えた方が良いような気もしますね。

「わしは弟子はとらん!」 頑固な師匠をねじ伏せた!?

ディオゲネスがまだ、若いころ、アンティステネスという高名な哲学者に弟子入りしたいと望み、彼の門を叩いたときのこと。

アンティステネスは弟子をとらない主義だったので、ディオゲネスに対してもそっけなく断っていました。

しかし、ディオゲネスは何度も何度もしつこく懇願していました。

アンティステネスは、あまりのしつこさに辟易し、犬を追っ払うかのように持っていた杖を振りかざしました。

怒られるっ!という場面ですが、ディオゲネスは落ち着いて、アンティステネスに自らの頭を差し出し、

「先生、どうぞ気の済むまで私を打ってください。そうすれば、その杖も私を追っ払う程、頑丈にはできていないことがわかるでしょう」

これにはアンティステネスも参ってしまい、結局ディオゲネスはまんまと弟子にしてもらうことに成功したのでした。

頑固なお師匠様にあの手この手で入門を目論む若者…というのは現代でも割とよく見るストーリーですが、その源流はここにあったのかも知れませんね!

それにしてもディオゲネス、熱心と言っていいのか、しつこいと言うべきか、口が上手いだけではなさそうです。

犬と呼ばれた哲学者

外見や世間体には一切気にかけなかったディオゲネス人の集まる街頭でも、平気で飲み食いをしていました。

ある時、いつものようにディオゲネスが道端でお行儀よく(?)食事をしていると、物珍しさにワラワラと人が集まってきました。

そしてディオゲネスを指さし「おい、見ろよ!あんなところで犬が飯を食ってるぞ!」とはやし立てて笑うのです。

それを聞いたディオゲネスの目はキラリ!と怪しく光り、「おいおい、人様が食事をしているところに集まってくるとは、お前たちの方が犬みたいじゃないか」と言い返したとのこと。

まぁ、口達者なディオゲネスに声をかけたのが失敗ですね。…というか、彼はこのセリフが言いたくて、わざと人前で食事をしたような気さえします。

アレクサンドロス大王とのエピソード

様々なエピソードを持つ哲学者ディオゲネスですが、その中でも白眉といったものがアレキサンドロス大王とのやり取りでしょう。

参考 ギリシャ哲学者列伝(中)

アレキサンドロス大王は世界の王

アレキサンドロス大王は紀元前4世紀の人物。古代ギリシャのマケドニアの王として活躍しました。世界史で類を見ないほどの広大な領土を治め、フランスのナポレオンや中国のフビライ・ハンとなぞらえるほどの大英雄です。

頭もきれて、戦いにも強い。地球を代表するような大人物だと言えます。

ディオゲネスとアレキサンドロス大王との出会い

広大な領土を治めるアレキサンドロス大王は、多くの戦争を繰り広げましたが、その中で、コリントスというところに滞在した時のこと。

人物を大事にする大王は、近くにディオゲネスという哲学者がいるという情報を得ました。当時、多くの賢者、学者と言う人物は大王が来たと聞くと、「我先に!」と大王のご機嫌を伺うかのように先を争って集まってきます。

ところが、ディオゲネスだけは、大王の元に現れなかったのです。

ディオゲネスの願い

ディオゲネスに会いたい大王は、自ら町に出て会いに行くことにしました。大王が一人の人間に会いに行くなんて当時にしてもとんでもないこと。

今でいうと、総理大臣が田舎の塾の先生に会いに行くと言った感じでしょうか!?

そんなこんなで、大王はディオゲネスのところに行くと、彼はダラダラと横になって日向ぼっこをしている最中。のんきなものです。

大王は、

「余はアレキサンドロスである」

と堂々と語りかけました。するとディオゲネスは、

「余は犬のディオゲネスである」

と応じたと言います。

初っ端からなんというやりとり…堂々としているというか、開き直ったと言うのか。

ディオゲネスの望み

泣く子もだまるアレクサンドロス大王ディオゲネスに、

「何か欲しいものはないか、願いを言ってくれ」

と尋ねます。

タル

普通に考えれば、大王と話ができるだけですごいこと。言葉をかけられただけで、感動した者も多かったことでしょう。

世界の大王から「願いを言ってくれ」と声をかけられるなんて、そんな幸運がこの世にあるのでしょうか!?

これに対してディオゲネスはぶっきらぼうに言い放つのです。

「日陰になる、そこをどいてくれ」

大王も魅せられたディオゲネスの生き方

「日陰になる。そこをどいてくれ」

世界の大王アレクサンドロスに「望みは何かね?」と聞かれて、こんな返答をする哲学者ディオゲネス。

皆さんはどう感じましたか?

何しろ、権力者の前にタンカを切るなんて単純にカッコいい!

私は若かりし学生の時にこの逸話を聞いて、正直、かなり心が揺さぶられました。

この言葉を聞いたアレクサンドロス大王は後に、

「余がアレクサンドロスでなければ、ディオゲネスになりたい」

と語ったと言います。

世界の多くを手に入れ、誰もが憧れるような光輝く存在となったアレクサンドロス大王も、きっと多くの難題を抱え、心が落ち着く間もなかったことでしょう。

一方のディオゲネスは樽(たる)を自分の寝床にするというホームレス同然の生活。ただ、ディオゲネスは富や名誉、人間関係さえも一切捨てて心の平穏を第一と考えます。

言わば全く対極にある二人。この二人が対面したのはほんのわずかな時間でしたが、上のやりとりを見るとどうもディオゲネスこそ何らかの理想の姿を示しているようにも見えます。

参考 外部リンク 「ディオゲネスを訪れるアレキサンダー大王」

まとめ

ホームレス哲学者ディオゲネス世界の大王アレクサンドロス

この二人のやりとりは、はるか時空を超えて巨大な文明に囲まれている現代の私たちにも、何か重要な示唆を与えてくれるような気がします。

「お金があれば何でもできる」

「いや、お金がすべてではない。もっと大事なものがある」

そんな、ありがちな言葉にとどまらない、もう一歩進んだ哲学へと続く道が、ここに開けていると思います。

 

 

 

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